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<  2009年 03月   >

  • 朝日新聞連載「笑顔さがして」
    [ 2009-03-28 06:19 ]
  • 旬の贅沢
    [ 2009-03-28 06:02 ]
  • 「便利やけどあかん」
    [ 2009-03-28 06:00 ]

朝日新聞連載「笑顔さがして」

第1回 足半
第2回 父の背中見て
第3回 管流し
第4回 かっこええで ヤスねえ
第5回 あうん
第6回 山の達人
第7回 炭焼きの日
第8回 柚子
第9回 山の暮らし
第10回 石積み
第11回 猟の季節

by hitohiroya | 2009-03-28 06:19 | my works

旬の贅沢

〜コープ自然派連合タブル連載「笑う! 田舎暮らし」3月号〜 

 村の数少ない商店には、町のスーパーのように常時生鮮野菜が並んでいることはまずない。野菜はそれぞれ自分の畑で作っているので、たまに仕入れてくる野菜は季節外れのハウスものがほんの少し。菜っ葉類から芋、豆、夏野菜に至るまで、さながら畑はスーパーの野菜売り場のようだ。手塩にかけてばあちゃんたちが育てる野菜の味は、大量に栽培されるものとはまったく違う野菜のようでもある。ひとことでは表せないけれど、とにかくおいしく味わい深い。サツマイモをふかしたのをいただいたときも、それだけで和菓子のようなおいしさだった。気の毒だけど、店に並んだハウスものの野菜たちは肩身が狭そうだ。
 「野菜は旬のものを食べよう」と言われる前に、村には旬の野菜しかないので、絶対冬にキュウリは食卓にあがらない。夏の食卓に毎日毎食登場するキュウリもなすも、秋までが旬。冬には寒い季節に収穫される大根やイモ類など、身体をあたためる野菜が主流になる。当然、毎日同じ野菜が登場することにもなるけれど、その分いろんな調理方法を工夫したり、新しいコラボな料理が発見されたりして結構楽しいのである。野菜の他にも、柿やぶどう、梨やキウイなどの果物まで、驚くほどのレパートリーの広さである。
 今の季節は、ハクサイや小松菜、チンゲンサイ、ほうれん草やキャベツ、大根など、あらゆる菜っ葉類のトウ立ちの季節。寒い冬をじっと耐えて、あたたかいお日様にむかってにょきにょき背を伸ばした菜の花たちのオンパレード。旬の季節、春先だけの贅沢な味覚は、冬中にたまった身体の毒をおろすとか。
 売ってないから作るのか、作るから売っていないのか、自家用だからこその少量多品種栽培。なんとかこのおいしさを町にも届けたいもんだなあと画策していると、隣のばあちゃんが「もうジャガイモ植えたか?」—いえいえ、まだでした。村ではおいしい和菓子も当然売ってないけれど、今年は私も和菓子のようなイモを作るのだー! 「はよう、耕せよ」—はいはい。早く準備せねば、店では買えませんものね。

by hitohiroya | 2009-03-28 06:02 | my works

「便利やけどあかん」

〜コープ自然派連合「タブル」連載2009年2月号〜

 「おるか〜。薪いらんか〜」とお隣のおんちゃんがやってきた。家の敷地内のケヤキの枝を切ったからと声を掛けてくれたのだ。
 山に暮らしていても、意外にも薪を揃えるのは一苦労。伐りだす手間も、運ぶ労力もたいへんなもので、重機に頼らざるを得ないことが多いからだ。マイ山など持っていない我が家などは問題外だが、落ちている杉枝を拾ったり、木を切りだした後の切り株をもらいに行ったりして、なんとか細々とお風呂を焚くための薪を確保している。時にこうして薪を提供してもらえるのはたいへんありがたく、「わお、いただきます〜」と即答。
 切ったばかりのケヤキは、枝といえどもかなり重い。こういう雑木の薪は、火力も強く、火持ちもいいので、少量でもかなりのエネルギーになる。これで春くらいまではあたたかいお風呂に入れそうで、もうおんちゃんに足を向けて寝られません。ありがたや〜。
 おんちゃんはケヤキを軽トラからおろしながら「やっぱ、薪の風呂はええだろ。熾きが残って湯が冷めにくいけん。ガスも電気もすぐ冷める。便利やけど、あかん」
 「便利やけど、あかん」—お風呂の他にも、村ではみんなが共通で持っているこの感覚。化学肥料を使わずいっぱい汗を流して肥料になるカヤ(ススキ)を刈るばあちゃん、いろんな種類の漬け物が店に並んでいようとも毎年どっさり漬け物を漬けるばあちゃん、わざわざ山から木を切りだして自力で小屋を建てるじいちゃん。ここでは少し前の、自然と共に暮らして来た頃のライフルタイルが今もそのまま残されている。
 今の時代、自分自身もたくさんの便利を享受しながら暮らしているわけだけれど、近頃の便利さには必ずリスクがつきものだ。でも、そのリスクを頭で考える前に、本物のよさを味や体感などで感覚的にわかっているからこそ、山の人たちは昔ながらの暮らし方を大切にしているんじゃないかな。肩肘張った環境論を振りかざすわけでない、すーっと身体に染みていくようなまさにナチュラルなほんまもんのエコライフ。
 いただいたケヤキの枝。長いままなので、これから鋸で適当な長さに切らねばならない。雑木は枝であっても切るのはとても時間も力も要る。よっしゃ、これでいっぱい汗かいて運動不足一気に解消! 山のじいちゃん、ばあちゃんのエコライフは、環境にも身体にもいいのである。

by hitohiroya | 2009-03-28 06:00 | my works